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大谷康子さんの魅力

大谷康子さんの魅力

羽田健太郎

私は数多くのViolinistと共演しているが、大谷さんとご一緒するステージが最も実り多い充実した演奏が出来ると思っている。それは全て彼女自身が発する豊かな音楽の喜びをピアノを弾いている私にも分け与えてくれているからなのである。少女時代から天才の名を欲しいままに育ち、輝かしいコンクールの受賞歴や13年間勤めた東京シティ・フィルのコンサート・マスター、その後9年目を迎える東響のコンサート・マスター等、我が国の音楽界で名誉ある重要なポストを歴任してきた。

ソリストとしても室内楽においても精力的に演奏を続け後進の指導にも力を注ぎ、眠る時間も無い位な忙しさの中で心休まる趣味の時間は?と質問したら『私、ヴァイオリンを練習している時が一番リラックスできる時間なの!』と平然と答えたのには驚かされた。本番であれ、練習であれ彼女はヴァイオリンを弾いている時が最高に幸福な時間なのだ。

何年か前に雑談の中で2人でDuo Recitalやりたいね?と提案したら即座に『ええ、是非!』と快諾してくれて、やっと実現の運びとなりました。勿論TV番組や地方公演の名曲コンサート等ではしょっちゅう共演の機会を頂いていますが、クラシック作品だけで一晩プログラムを組むのは初めてですし、何と言っても日本最高の「チゴイネルワイゼン」が聴けるというだけで、今夜はワクワクしています。

※2004年3月12日(金)に行なわれた「羽田健太郎&大谷康子デュオコンサート」のプログラムより抜粋いたしました。


「故羽田健太郎さんとは、全国各地でコンサートをしました。たくさん楽しい思い出があり、今でも思い出すたびに涙が出てきます。何でも弾けてしまう天才ピアニストでその上お人柄もすばらしかったです。もう一緒に演奏できないかと思うととても残念です。このプログラムは2004年3月12日のデュオコンサートのもので、羽田さんが書いて下さった文章を当日初めて読んでうれしくて、それ以来私の宝物です。羽田さんには感謝しています。」 大谷康子