東京交響楽団では、コンサートマスターに対しての楽団員アンケートが実施され、その意見が強く反映され契約が続くか、切れるかに影響します。入団後”なかなか厳しいものだなあ…”と思っていましたが、信頼していただけたようで、途中ソロ・コンサートマスターのポストをいただき、なんと!通算21年間!! 自分でもこんなにも長く務めさせていただく…とは思っていませんでした。この間のことは金山茂人氏の著書「楽団長は短気ですけど何か?」(水曜社)におもしろおかしく書いて下さっています。
パーヴォ・ヤルヴィさんとの「英雄の生涯」(先月末ヤルヴィさんとこの時のことをお話したばかりです。)、またダニエル・オーレンさんとの「ナブッコ」(これについてはN響の機関紙”フィルハーモニー”に<名演の生まれる時>という題で以前書かせていただきました。)など感動のコンサートは数え切れません。
このたび契約満了を機に、これからは自分の表現したいことを思いきりソロでやっていきたい…と思いました。これまでも年間100回におよぶソロ活動をしていましたが、今後は専念するつもりです。
東京交響楽団からは、今まで21年もコンサートマスターを務めた人が他にいらっしゃらなかった…ということで、楽団初の名誉コンサートマスターという称号をいただきました。光栄なことです。称号に恥じないように精進していこう!と思います。
最後の公演は、ロシアの巨匠キタエンコさん指揮、同じ事務所(ジャパンアーツ)の若手ヴァイオリニスト成田達輝さんの個性をいかした鮮やかなチャイコフスキーのあと、ショスタコーヴィチNo.5。重厚な、そして哀しみ、諦め、静かな恐怖、立ち向かう意志、信念を貫くエネルギー…などなど団員一同、迫力ある表現もできたかと思います。
サントリーホールでも、ミューザ川崎でも、客席から「やすこさん ありがとう!」という声をかけて下さったり手を振って下さったり!私もおひとりおひとりに届くように…と思いきり、腕がちぎれそうなくらい手を振りました。
みなさま 東京シティフィルから数えると…34年間…温かく応援してくださいまして本当にありがとうございました。心からお礼を申し上げます。
終了後、またまた感動でした。打ち上げを企画してくださって、金山さんや大野楽団長はじめ事務局の方々、OBまでいらして、弦楽器、また管楽器の方々もびっくりするほどいらしてくださいました。そのうえ私が長年勉強させていただいたのに「感謝の集い」となっていて、”え〜っ!はんた〜い!私が感謝しているのに…”と思いました。
ベテランから若い新人さんまであんなにたくさん集まって下さって!!
本当に私はしあわせ者だなあ…と感じていた矢先、金山さんが大きなお声で「大谷さん!あなたはしあわせな人だよ〜!!」と叫ばれてしまいました。はい、感謝しています!!
仲間に支えられて勉強させていただいて、音楽体験を重ねることができました。ありがとうございました。
今後はハクジュホールで10年プロジェクトが始まったり、また4月6日からはTV新番組も始まります。他にも色々なコンサートがありますから順にお知らせしますね。
これからもっと精進して、少しでも作品の本質に近づければ…と思います。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
テレビは4月6日から、BSジャパン(テレビ東京系列)毎週水曜日、夜23時30分から30分番組「おんがく交差点」です。お噺の達人、春風亭小朝師匠と番組をすすめます。毎週多彩なゲストをお迎えして、お話したり、また私の演奏、ゲストの方々とのコラボレーションも楽しみにしてくださいね。
さあ、次のおんがく人生、出発です!
大谷康子